銀座といっても7丁目は、きどったブテックや、大企業のブランドショップばかりの4丁目、3丁目とは違う。
ここは、飲食業の人が多いから、それぞれ特殊な事情の方が多い。
だからまず、患者さんに生活のリズムを聞くんです。
何時に起きるのか、いつ歯をみがくのか、どういうタイミングで仕込みをするのか。
歯みがきのタイミングも、普通のサラリーマンの方たちとは違っていますよね。
みがきたくても、なかなか時間がとれない人も多い。
しかも、飲食の方は常に試食をしているから、お口の中がいつも酸性になっているんですよ。
普通の方よりも、虫歯になりやすい環境なのです。
銀座6、7、8丁目は、虫歯の数が多いと思いますよ。
ここで特殊な治療をするわけではないのですが、ある程度その方のライフスタイル、生活背景まで抱え込んで、その方により添って、何とかして虫歯の数を減らしたいのです。
銀座7丁目に根付いた診療スタイルで、この界隈で働く皆さんが実践できる治療や予防を提供することが大事だと思っています。
銀座の中でも会社を起こしてきた経営者の方たちにも、可愛がってもらってきました。
そういう方たちは、毎月200万、300万と遊びに使われる方たちなので、いろいろ話を聞いて、教えてもらうことも多いです。
接客業の女の子たちがどういう生活をしているとか、遊びなれた人にこのあたりの事情をよく聞かせてもらっています。
銀座独特のライフスタイルを知らなければ、この界隈での地域医療はできないと思います。
そうしたなかで、接客業の女の子たちには、ホワイトニングをきっかけに、予防を意識してもらうという方法が現実的であることがわかってきました。
ここでは、院内で行うオフィスホワイトニング、自宅で行うホームホワイトニング、両方を組み合わせたデュアルホワイトニングの3種類を用意しています。
実際、お店で指名が増えたという結果があるから、希望する患者さんが増えてきました。
銀座で高い家賃を払って開業している歯医者さんは、ほとんどが審美歯科など高額な自費診療を専門とする歯科医です。
7丁目、8丁目はどちらかというと水商売の街だから、下町っぽいところがあって、みんなお互いに知っているし、人間くさい。
こういう街では、歯医者はあまりやりたがらないのです。
僕はそうじゃなくて、どっぷりこの界隈に浸かって、この界隈の人を治していきたい。
患者さんも、サービス業や飲食業の人たちが好きなんです。
学生時代の友人も、「お前はこの街にあっているんじゃないの」と言ってくれます。
生意気な言い方をすれば、今、僕がやろうとしていることは、僕にしかできないことだと思うのです。
このあたりは、名店といわれる料亭や鮨屋も多いところですから、そういうところの見習いさんとかがいっぱい来られます。
自費治療だけの歯科には、この界隈で働く人たちは通いきれないですよ。
料理人の見習いの子なんて、ホントにお金ないですから、「保険でいいんだから、おいで」って言うのです。
痛いのは我慢できないじゃないですか。
保険治療でちゃんとやってあげると、とても感謝してくれます。そこで紹介が広がっていくんです。
「そういう子たちと一緒にがんばっていきたい」という気持ちで、心を込めて保険治療をしています。