「とりあえずこの歯の痛みを止めてほしいんです。痛みさえなくなればいいんです。」
こう思って(言って)歯医者さんにかかったことはありませんか?
虫歯の「痛み」は歯という硬い組織の「病気」ですが、風邪のように休養をとって薬を飲んでいれば生体の自然治癒能力でひとりでになおってしまうような病気ではありません。
虫歯になった歯をもとの自分の歯にもどすことは出来ません。
いったん削ったり神経を取ったりしてしまったら、そこをいかにお金をかけてよい材料で詰めたとしてもしょせん代用品です。もうそれは自分の歯の部分とは言えません。
私たち歯科医は、いかに削る部分を少なくするか、いかに神経を取らないようにするかを常に考えています。
しかし一番いいのは定期的な検診による早期発見・早期治療です。
神経を取ることで急な痛みを止めることもわれわれの大切な仕事ですが、もっと早く発見できればよかったのに、もっと予防できたかもしれないのに、と思うことも実はたくさんあるのです。
虫歯は「痛み」より「病気」であるという気持ちをもっとたくさんの人に持ってほしいとわれわれは思っています。