虫歯や歯周病などで歯を失ったときの治療の選択肢は、「入れ歯」「ブリッジ」「インプラント」があります。
どれも一長一短ですから、一概にどれがいいとは言えません。当院ではストレスなく噛みたいという多くの声を受けてインプラント治療に力を入れていますが、来院される患者さんすべてにインプラントをおすすめすることはありません。
大事なのは、患者さんの「こうなりたい」にお応えすること。ですから、まずはじっくりお話をお聞きし、目指すお口の状態や治療にかけられる期間、費用などを把握します。
そのうえで、総合的に考えてもっともふさわしいと思える治療をご提案します。
もしインプラント治療を選択するとした場合、知っておいていただきたいことがあります。
それは、インプラント治療を行うには条件があるということです。
インプラント治療はあごの骨に人工歯根を埋め込むことで噛む力を十分に回復させる治療なため、人工歯根を埋められるだけのあごの骨が必要です。十分な骨の厚みや高さがなければ、無理に人工歯根を埋入したとしても、ふとした拍子に抜けたり、折れたりする可能性があります。
しかし、歯周病を筆頭にさまざまな理由であごの骨が足りないという方がいらっしゃいます。
その場合、必要になるのが骨再生治療です。インプラントの前に骨の再生を促す治療を行い、十分な骨の厚みが確保できたと確認できたところでインプラント手術を行います。
あごの骨の太さ・高さが足りない場合に行う治療法です。骨が必要な部分に自家骨や骨補填剤を入れ、その上から人工膜を被せて骨が再生するためのスペースを確保します。その後3~6ヶ月間、人工膜の内側で骨が再生するのを待ってからインプラント手術を行います。
これから歯周組織が再生する歯根部分に歯肉が入り込んでふさいでしまわないよう、メンブレンと呼ばれる膜を使用する治療法です。歯根膜にかかわる組織や細胞が十分に再生できるよう促します。
あごの骨の高さが足りない場合に行う治療法です。特殊な器具を使って上あごの上にある空洞「上顎洞(じょうがくどう)」を押し上げ、そこに自家骨や骨補填剤を入れて骨の高さを確保します。
ソケットリフト法同様、上顎洞に骨の厚みを確保する治療法です。ソケットリフト法との違いは、上顎洞を押し上げるのではなく、粘膜をはがして骨との間で骨再生を促す点です。