顎関節は、直接咬み合わせの影響を受ける、重要な運動器官だと言われています。そこで当クリニックでは、顎関節の動きに調和した咬み合わせを作ることを治療目標の一つとしています。例えば出っ歯(上顎前突)症例では、一般的に咬み合わせ平面(後部)の傾斜が強く、奥歯の接触が下あごの動きを制限しているのです。
そこでこの傾向を緩くし、顎関節の動く経路と調和させることによって、下あごはさらに動かしやすくなるのです。
治療前
咬み合わせ平面の傾斜が強く、
下顎は動かしにくい。
治療後
咬み合わせ平面が平坦になり、
下顎は動かしやすくなる。
永久歯列期の治療では、主として小臼歯を抜歯しスペースを確保してきました。しかし、当クリニックでは、なるべく小臼歯を抜歯することなく治療を行います。それは本棚に例えることができます。すなわち図のように、本が棚の中で傾斜しているとたくさん入らず、さらに本を入れようとすると、すべての本を真っ直ぐに起こさなくてはなりません。つまり、すべての歯を起こすことで、スペースが生じ、中間歯抜歯の割合が激減しました。そうすることで、歯数を減らすことなく、しかも咬み合わせの力を垂直的に受け止めることもでき、一石二鳥なのです。
本を真っ直ぐに起こせば、10冊の収納が可能。
本を真っ直ぐに起こせば、10冊の収納が可能。