虫歯(齲蝕 うしょく)の治療と歯周病の治療およびその予防を基本的治療主軸としています。虫歯では可及的無痛治療、必要最小限の歯の削合、審美的な歯の修復治療を行っています。歯の喪失による義歯の場合では機能的(かめる義歯)、審美的義歯(義歯だとわからない)による治療を行っています。
また、歯周病は徹底した口腔ケアーで予防できる疾患です。当院では口腔病変(特に歯周病)と関連深い糖尿病、心疾患、脳梗塞などの全身疾患について口腔ケアーを通した予防として治療を行っています。また、健康的な美しさの表現として歯を審美的に白くするホワイトニング(保険適用外)も行っています。
顎関節の運動痛,雑音,開口障害などの運動異常や機能障害と付随する筋の疼痛を主症状とします。原因は顎関節への直接的な機械的傷害.不良補綴物(合わない入れ歯),異常咬合などによる正常咬合の破綻、心理的ストレス(歯の食いしばりや歯ぎしりにおける過機能による筋疲労)、無意識の下顎前方挺出運動癖による筋の緊張などがあげられます。多くは20歳代,女性に好発し、顎関節部の疼痛(運動痛と圧痛),雑音(「カック」という音や「ジョリジョリ」する音)が発症し,開口障害をきたします.症状が強くなると頭痛、肩こり、頸部痛、めまいなどの合併症が発症します。治療は正しい咬合の位置へ誘導するためのマウスピース装着や、マッサージ、口腔リハビリなどから始めます。
失った歯の咀嚼機能回復にはブリッジや入れ歯を装着し、機能を回復させます。しかしながら、入れ歯では従来の咀嚼が十分できないことや取り外しのわずらわしさ、審美的に良い結果が得られていないなどの種々の不備な事があります。また、歯周病などで残存した歯も悪くなり、歯槽骨の吸収が過度に起こった場合では、その後の入れ歯の合わせが悪くなるばかりでなく、入れ歯の固定保持ができなくなります。
そこで、失われた歯の代わりに人工の歯根(チタン製)を埋め込み、そこを土台として歯冠部を作ったり、その部を起点として義歯を支えたりする方法がインプラントです。インプラントは周囲の歯を削ることもなく、噛む力やその感覚が天然の歯と同じであるために、ご自分の歯の健康を維持することが可能です。ひいては老化防止、認知症防止にもつながります。
唾液の分泌障害による口の乾燥が主症状です。口腔乾燥のために、舌表面の萎縮、粘膜の発赤、カンジダ症(カンジダ菌の増殖)、齲蝕・歯周病などが発症します。原因は糖尿病、腎臓病、加齢、ストレス、薬剤の副作用などがあげられます。特に、唾液が減少する要因は「薬の副作用」、「老化」、「噛む力の低下」が三大要因と考えられています。口の乾燥だけでなく、眼の乾燥などを伴うとシェーグレン症候群(自己免疫疾患)などが考えられますので、いずれの原因でも全身的な検索が必要となります。
口腔がんの初期症状としては、痛みは軽度か違和感程度で、口内炎や歯周病と間違われやすいこともあり、進行してから発見されるケースも少なくありません。
口腔がんで最も多い舌がんでは、多くのケースで舌の両脇(舌縁)に、びらんまたは潰瘍ができます。この時の症状は食事や歯が当たったときの痛み、粘膜の変色(白や赤、黄色)、が見られます。病変の進行に伴い、これらの症状は強くなり、出血、舌の運動障害により話しにくい、ものが食べにくいなどの症状がでます。口底がんや頬粘膜がんも症状はほぼ同様です。歯肉がんでは、歯肉の腫れや痛み、歯周病と間違えやすい症状が見られます。進行すると「歯がぐらぐら」したり、持続性の歯肉出血などが見られます。
口腔がんは口の中の、目で見て触れることのできる部分にできるがんですから、検査でもまず視診、触診を行い、痛みなどの自覚症状を問診により確認します。視診、触診で疑わしい場合に細胞診や生検を行い、歯科用レントゲンやCT、MRIなどの画像検査によって治療方針の決定を行います。
口の粘膜が白くなったり(白板症=前がん病変))やびらん、潰瘍ができたら検査が必要です。
咀嚼嚥下(そしゃくえんげ)障害とは、飲食物の咀嚼や飲み込みが困難になることをいい、口腔、咽頭、喉頭、脳疾患や加齢によることが原因となります。嚥下とは咀嚼した食物を舌を使って咽頭へ送り、食道へ送り込む過程をいいます。この複雑な動作に関わる神経や筋肉に障害が生じた場合、嚥下障害となります。症状は食事中によくむせる(とくに水分でむせることが多く、みそ汁などを避けるようになる)、食事中でなくても突然むせる、咳込む(唾液でむせているものです)、飲み込んだ後も、口腔内に食物が残っている食べ物がのどに詰まった感じがある、食べ物が舌の奥や喉に引っかかる、ご飯より麺類を好むようになったり、咀嚼(そしゃく)力低下や歯科的問題で、噛まなくてよいものを好むようになる、食事の後、声が変わる(がらがら声になるなど)などがでます。
咀嚼嚥下障害があると食事を摂ることが困難なため,体重の減少、低栄養や脱水になり、さらには肺炎(誤嚥性肺炎)を起こしたりすることがあります。
口腔アレルギー症候群(OAS)は花粉にアレルギーを持つ人が、特定の果物、野菜、ナッツまたは豆類を摂取したときに発症する可能性があります。その症状は、特定の食物に含まれるタンパク質と類似構造を持つタンパク質が花粉に含まれることにより生じ、これを交差反応といいます。
この交差反応があるために OASは、独立した食物アレルギーではなく、花粉と特定の果物や野菜との間でアレルギーが発症します。その発現は通常、生の果物や野菜を摂取した場合に限られます。したがって、口腔アレルギー症候群は花粉症を持っている人に多く見られます。
味覚はおいしさを感じる感覚も加味されます。健康のため、また老化防止には「食事をおいしく」いただくことが非常に重要です。
近年、さまざまな疾患や全身あるいは局所の状態の病的変化として味覚障害が増加しています(日本では年間24万人に発病しています。内65歳以上の患者さまの割合は約40%です)。味覚障害の訴えであっても臭覚障害が原因の風味障害、転換期障害、うつ病、加齢的変化や認知症の初期症状など様々であるために、味覚機能検査に加え、認知、心理面、薬剤服用などの機能評価を正確に行い、病態把握のもとに、薬物療法(亜鉛、漢方)原因疾患の除去療法を行います。