歯を美しくするために、健康な歯の神経を抜いてしまうことをどう思いますか?
神経を抜くと歯は死んだ状態になり脆くなります。歯としての寿命が短くなり、後々割れたり抜けてしまう場合があり、維持費もかかることになります。神経を抜くのは極力避けるべきです。
以前は、セラミック治療(いわゆる差し歯)は神経を抜いて行うのが当たり前でしたので、今でも多くの医院で神経を抜く治療が行われていますが、けしてお薦めできません。
当院では、最新の技術で治療を行うことで、歯を削る量を必要最小限にとどめ、可能な限り神経を抜かずに、健康な歯を残す治療を行っています。長く健康と美しさを保つために、とても大切なことです。
【神経を抜かずにセラミック治療を行った例】
上の前歯4本をセラミックにしていますが、4本とも神経は抜いていません。
審美治療では、歯並びや形・色を整えるために、白いセラミックの人工歯を被せます。元の歯の上に被せるのですから、元の歯は削って小さくする必要があります。
歯は、いちばん外側が「エナメル質」という白く硬い組織、その内側が「象牙質」というやや柔らかい組織、そしてその内側に、神経や血管が集まった「歯髄(神経)」があります。
削る部分が大きいと、歯髄(神経)まで達して痛みを感じますので、神経を抜いて治療を行うことになります。
歯を大きく削ってしまえば、治療自体はやり易くなりますし、上に被せるセラミックの人工歯も大きさが確保できて作り易いので、以前はセラミック治療は神経を抜いて行っていました。今でも多くの医院で神経を抜く治療を行っていますが、現在は必ず必要なことではありません。
技術と経験がある医師であれば、細心の注意を払って削る部分を見極め、削る量を必要最小限にすることで、多くのケースで神経を生かした治療が可能です。セラミックの素材も進歩し、最新の素材を使用することで薄い形状のクラウン(歯冠)を作れるようになったことも、歯を削る量を少なくできる一つの要因です。
患者様には、是非ご自身の歯を大切にして頂き、できるだけ神経を残す治療を選んで頂きたいと思います。
歯を削る量が多いと、神経まで達するため、神経を抜く必要があります。
削る量を最小限にすることで、神経を生かしたまま治療することができます。
歯髄(神経)は、神経だけでなく血管やリンパ管などがあり、歯に栄養を送る役割をしています。
神経を抜くと、歯は死んだ状態になり、徐々に黒ずんできて脆くなり、欠けやすくなります。
また、神経を取る治療(根管治療)が不十分であったり感染が原因となって、後々歯根の部分に膿がたまって化膿してくることもあります。
「神経を抜いてしまえば痛みを感じないからよい」という人もいますが、痛みを感じないからといって虫歯や歯周病にならないわけではありません。痛みがないために、かえって気づかずに悪化しやすくなります。
虫歯が神経まで達していて、どうしても神経を取らなければいけない場合は仕方ありませんが、健康な歯は、可能な限り神経を抜かないことが望ましいのは当然のことです。
当院では、審美治療に限らず、すべての治療で神経を残すことを最優先に考えた治療を行っています。
元の歯の形状によっては神経を残せない場合もあります。
例えば、歯並びが大きく前に出ていたり(いわゆる出っ歯)、捻じれている場合には、まっすぐの形のセラミックを被せるためには元の歯を大きく削らなければなりません。
そのような場合には、当院では、神経を取らなければいけないということを十分にご説明したうえで、ご納得頂いた場合に治療を行うようにしています。説明もなく神経を抜くことはけしてありません。
また、当院では、審美治療の他に「矯正治療」も行っています。矯正治療は、ご自身の歯を生かし、歯を徐々に移動させることで綺麗な歯並びに整えますので、矯正の方が向いているケースでは、そちらも合わせて検討頂くとよいでしょう。
セラミック治療では神経を抜かなければいけない場合でも、矯正治療によって健康で綺麗な歯並びを得られる場合もあります。また、早く治ることを第一に希望される方の場合は、セラミックが有効な手段となります。
当院では、様々な治療法の中から、その患者様に最も適した方法を提示してご説明しますので、どうぞご希望を詳しくお話し頂ければと思います。
「できるだけ神経を抜かない治療」は、審美治療に限ったことではありません。 例えば、歯が抜けてしまってブリッジにする場合、抜けた歯の両隣の歯を削って3本の連結冠にして被せるのですが、その際、両隣の2本の健康な歯を削る必要があります。
この場合も、2本の健康な歯の神経を抜いてクラウンにする治療が今でも多く行われていますが、当院ではできるだけ神経を抜かずに治療を行っています。
ブリッジの場合、抜けた歯の部分の咬む力も支台となる歯にかかりますので、神経を生かして治療する方が長く使用できます。ブリッジ治療を検討される方には、是非ご留意いただきたいと思います。