デーモンシステムが矯正専門医にとどまらず、 多くのメディアで話題となっているのは 「生体に優しい、非常に弱く持続的な力で歯を動かす」 という理想的な矯正治療を実現したからです。 このシステムは、今までの矯正歯科医療におけるparadigm shiftと言えるものです。
デーモンシステムがクライアントの皆様にもたらすメリット
1.矯正歯科治療に伴う痛みが大幅に軽減されます。
2.治療期間や通院回数が減ります。
3.歯を抜かずに治療出来る可能性が高くなります。
4.歯周組織(歯を支える歯肉、歯槽骨etc.)の健康が維持・増進されます。
ATTENTION
矯正歯科デーモン・システムはデーモン・ブラケットとハイテク・ワイヤーの使用でオートマティックに達成できるといったものではありません。正しい診断と綿密なブラケット選択・ワイヤー交換時期など、包括的に熟考された治療体系を意味します。
進化するデーモンブラケット~その性能と特徴
1.スロットが4つの硬く滑らかな壁で構成されており、ローフリクション(少ない摩擦)での歯の
移動を実現しました。
2.シャッター式でワイヤー交換しやすく、毎回の治療時間が短縮に。
3.エッジをラウンドシェイプさせ違和感を軽減。より衛生的な構造に。
4.ステンレスとコンポジット(透明樹脂)の併用により審美性が向上。
デーモンシステムによる歯の動き
デーモン・ブラケット最大の特徴は、矯正歯科治療において歯を動かす力となる「ワイヤーの固定の仕組み」を変えたことです。
従来の方法ではワイヤーとブラケット・スロット(ワイヤーが収まるコの字型の溝)は結紮線(細い固定用ワイヤー)やエラスティック(ゴム製の固定材)によりタイトに(ぎゅうぎゅうに!)固定されていました。
これにより、歯根膜の血流を阻害しない範囲の「弱く持続的な矯正力」が実現し、歯槽骨代謝が促進されて「歯が骨ごと動く(歯の移動に骨がしっかりついてくる)」ことが可能となりました。 矯正歯科治療での抜歯の可能性が減り、歯周組織の健康も維持・増進されるのです。
ネジレやデコボコが強い歯を結びつけると、その歯には生物学的許容範囲よりも強すぎる力が加わるため、一種の貧血状態を生じます。これは骨の代謝を遅らせるとともに、歯の周りの組織にもダメージを与えてしまいます。 この状態で歯を動かすことは「ブレーキを踏みながら車を走らせている」ようなものです。
見えない矯正・裏側矯正一方、デーモン・ブラケット最大の特徴は“シャッター式の「パッシブ・セルフ・ライゲーティング・システム」です。スロットが四角いトンネル状になっており、結紮線やエラスティックを用いずワイヤーを通すだけなので、ワイヤーの動きに自由度があり、歯を締め付けることがありません。
歯が動く仕組み~なぜ歯根膜の血流を維持しなくてはならないのでしょうか?
歯根膜とは何か?
歯根膜は歯根周囲を取り巻き,歯と歯槽骨を結び付けその空隙を満たしている線維性結合組織(コラーゲン繊維)です。 歯根膜には血管や神経が網目状に広がり、歯根への栄養供給や、咬合力を和らげるクッションの役割をするとともに、その刺激・感触を脳へ伝える働きがあります。
ウサギの歯根膜(歯周靭帯)の走査顕微鏡写真(×180)
血管構造は繊細・脆弱なネットワークで、歯根と歯槽骨壁の間の歯根膜(薄いクッション)の中に広がっています。 ヒトの歯根膜(歯周靭帯)でも同様な構造が認められます。矯正歯科デーモンシステムは、この「繊細・脆弱な血管の ネットワーク」=「生体の代謝」 と調和のとれた矯正歯科治療を実現したのです。
適切な矯正力が加えられた時の歯根膜周囲の反応(デーモンシステム)
歯に適切な矯正力(歯根膜の血流を阻害しない)が加えられると、歯が移動する側(圧迫側)では歯槽骨壁と歯根とを結合している主繊維が圧縮され歯根膜の組織圧が上昇します。
歯根膜繊維は一定の厚みを維持しようとするため、固有歯槽骨の骨膜が反応して破骨細胞(骨を吸収する細胞)を生じ,圧迫部位の歯槽骨壁を吸収します(直接性吸収)。
また反対側(牽引側)では主線維が伸展し,線維中に介在する血管の血流亢進が生じ、主線維の付着している固有歯槽骨の骨膜で骨芽細胞(骨を造る細胞)の増殖・代謝活性が促進され、骨が新生されます。
過度な矯正力が加えられた時の歯根膜周囲の反応(従来型矯正装置)
一方、歯に加えられる矯正力が強すぎると、主繊維が圧迫され血管が閉塞して歯根膜に重度の血流障害が生じます。
それにより線維などの細胞基質は変性してしまいます(硝子様変性)。
破骨細胞はこの変性組織周囲の歯槽骨表層には接近できないため、骨髄側に出現した破骨細胞により歯槽骨壁の背面あるいは側面からの吸収が進みます (間接性吸収:隣接する障害を受けていない領域に由来する細胞の働きで行われる骨吸収)。
この様式では吸収すべき骨の量が多くなるとともに血管の再形成を待たなくてはならないため、歯の移動には相当な時間を要します。
これは「ブレーキを踏みながら車を走らせている」ようなもので、非常に効率が悪いのです。