妊産婦の皆さんが気をつける事:生まれる前の生活のポイント
赤ちゃんの健康な歯を作るには生まれる前、母親の胎内に居る時からのケアが必要です。
一部の歯はお腹の中にいるうちから出来始めます。ですから妊娠中の栄養のバランス等も大切なのです。
また、妊娠中はホルモンの関係で歯周病が進みやすい環境にあります。つわりなどで億劫になりがちですが、普段以上に妊産婦の皆さんはお口のケアが重要になります。
母親の口の中の細菌が多いと子供の口の中も細菌が多い傾向があります。一生懸命歯ブラシしても虫歯や歯周病になりやすいという声を聞く事があります。これはお口の中の細菌が多いというリスクファクターも関係しています。また、歯周病が早産や低体重児出産のリスクになるという研究もあります。
よって、妊娠がわかったら自分の為にはもちろん生まれてくる赤ちゃんの事も考えてしっかり口腔ケアをしていきましょう。
生まれてからの生活で気をつける事:赤ちゃんからの予防のポイント
出産後も母乳の与え方、歯ブラシを始めるタイミング、砂糖と虫歯の関係など沢山気をつけなくてはいけないポイントがあります。
私の子供の場合ですが、小さい頃から野菜スティックなどを与え自然の味、自然の食感を覚えさせ、よく噛む習慣を付けさせました。
また、砂糖の味も3歳の誕生日までは教えませんでした。(3人姉弟の2番目3番目はもう少し早い時期に覚えてしまいましたが。。。)
ですから、今でも食事は薄味を好み野菜も自然な味が好きなので調味料をかけずにそのまま食べます。ケーキなどのお菓子類も甘みの強いものは好みません。
また、食後すぐ歯ブラシを持たせる、ぬいぐるみ遊びなどに歯ブラシを取り入れて歯ブラシを身近なものにするような工夫をしました。
結果として、3人とも虫歯がなく育っております。 このように書くと大変そうですし、歯科医の子供ですから当たり前と思われるかもしれませんが、実は私の所も育っていく中ではいろいろな事がありましたのですべて完璧とはいきませんでした。あまり完璧を求めなくともよいと思います。
六歳臼歯の萌える頃:学童期の予防のポイント
6才前後(幼稚園の年長さん?小学1年生)にかけて六歳臼歯が萌えて来ます。
この歯は乳歯が抜けた後に萌えてくるのではなく何もない所に萌えて来ます。また、乳歯の後ろ、一番奥から萌えてくるので気がつきにくいのです。そして生えてくるのに時間がかかるので萌え揃うまでには虫歯になっている事があります。
六歳臼歯は平均寿命からしてみると80年近く使わなければならないので、虫歯にしないようにする事が大切なのです。
成人になって
虫歯、歯周病もならない事が一番ですが、なってしまった場合は早めの対応が重要です。
特に歯周病の場合は、生活習慣病なので他の糖尿病や高血圧等と同じく、自覚症状が出たときにはかなり重症になっています。
実は20代で65%~70%、30代の80%が歯周病だと言われており、40才以上の歯を失う原因の80%は歯周病であると言われています。 また歯周病と心臓病、糖尿病、との関連性が強いとの研究が多数あります。糖尿病の方は歯周病になっている可能性が高く、歯周病の治療を行うと糖尿病が軽くなるという研究もあります。歯周病と心臓病の関係について同様の研究もあります。
歯磨きのときに血が付く、歯茎が赤っぽい、口の中がネバネバする、歯が揺れている、というサインがあったら歯科医院で検査してみる必要があります。
お年寄りの場合
全死亡率のトップは悪性新生物(がん)ですが、ご高齢の方の死亡率トップは肺炎です。
お口の中の細菌が多いと誤嚥性肺炎になりやすいと言われています。ご高齢の方の口腔ケアはとても重要です。
このように自分の歯で、一生食べ物を食べていくための手伝いをしていければと考えていますが、残念ながらご自分の歯を失ってしまった時には義歯を作ります。