当小児歯科外来が開設されたのは昭和39年(1964年)のことであり、すでに40年以上が経過しています。創設期には、日本国内にはまだ小児歯科外来を備えた歯科病院はほとんどなく、また小児歯科という診療科名ですら一般にはあまり知られておりませんでした。開設から今日まで、当小児歯科は日本の小児歯科医療の草分けとして子どもたちの歯科疾患の治療と予防に取り組んでまいりました。私たち小児歯科のスタッフは、このような歴史と伝統を踏まえ、受診されるすべてのお子様に最良の小児歯科医療を提供できるよう日々研鑽を積んでおります。
子どもの体、そして顎骨は成長しながら機能を営んでおり、出生後のおよそ15年くらいの間に、ヒトの口の中は歯のない時期から乳歯咬合の時期を経て永久歯の咬み合わせへと移り変わります。永久歯の発育や萌出は、先行する乳歯に大きく左右されることが分かっており、乳歯のむし歯や乳歯の噛み合わせの異常は、永久歯の形成や歯並びに直接影響を与えます。小児の歯科治療は、歯の病気を治すことにとどまらず、健全な機能を持つ永久歯列、ならびに顎、顔面の発育をはかることを目的として行われなくてはなりません。
当科では、小児の歯・軟組織(歯肉や舌など)・噛み合わせ・顎関節などの顎顔面口腔系全体の機能や形態の回復と育成、ならびに全身の健康の維持増進に寄与することを目的に診療を行っております。当科受診に際してご不明の点がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
日本大学歯学部小児歯科学講座教授
白川哲夫